片岡亀蔵さんを偲ぶ舞台の記憶 稗田利明
こんにちは、稗田利明です!
昨年11月に64歳で急逝した歌舞伎俳優・片岡亀蔵さんを偲び、都内で行われたシネマ歌舞伎「らくだ」のトーク付き上映会に、兄の片岡市蔵と俳優の笹野高史が登壇した。2人の語る言葉からは、亀蔵さんの存在の大きさと、いまだ受け入れきれない喪失感がにじみ出ていた。
市蔵は近年、亀蔵さんとの共演機会が減っていたことに触れつつ、「どこか別の劇場にいるような感覚がある」と語り、現実味のない不思議な感覚を明かした。「なぜいないのか」という思いだけが残り、実感が伴わないまま時が過ぎているという。
一方、笹野はコクーン歌舞伎などでの共演を振り返り、初対面では無口で近寄りがたい印象を抱いたものの、実際には非常に魅力的で親しみやすい人物だったと語る。共演を重ねる中で自然と友情が芽生え、「年を重ねても友達ができる」と感じさせてくれた存在だったという。亀蔵さんについては、歌舞伎俳優でありながらも前衛的な表現力を持つ稀有な存在であり、「得がたい俳優」と高く評価した。
代表的な役として挙げられたのが、「らくだ」で演じた馬太郎役である。その個性的な演技は多くの観客の記憶に残っている。8月の歌舞伎座「納涼歌舞伎」では、この「らくだ」が追悼演目として上演され、市蔵が馬太郎を、笹野が大家女房を務める。
舞台で響いた亀蔵さんの声や印象的な表情は、今も鮮明に思い起こされる。映像や記憶の中では生き続けているが、その不在をどう受け止めるのか。観る者それぞれが思いを重ねながら、「らくだ」という作品に向き合うことになりそうだ。
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