「28年後...」新たな終末世界と家族の絆を描く衝撃作 稗田利明
こんにちは、稗田利明です!
2025年6月20日に公開された「28年後...」は、ダニー・ボイル監督と脚本家アレックス・ガーランドがタッグを再結成した、サバイバルホラーの金字塔「28日後…」「28週後…」シリーズの最新作です。人間を凶暴化させるウイルスが世界を襲ってから28年後、英国社会はNATOによる海上封鎖で孤立し、生存者たちは小さな孤島で自給自足の生活を余儀なくされています。物語は、島で暮らす父ジェイミー(アーロン・テイラー=ジョンソン)と、島の外を知らない12歳の息子スパイクが、ある目的のため本土へ旅立つところから始まります。彼らはそこで、想像を絶する感染者だらけの荒廃した世界と対峙することになります。
本作の見どころは、従来の終末世界観をさらに深化させた点にあります。生き残った人々が築く共同体の厳格な掟や、干潮時だけ本土と繋がる土手道など、イギリスという島国ならではの孤立感がリアルに描かれています。また、感染者“レイジ・ウイルス”も進化を遂げ、四つん這いで徘徊する“スローロー”や、運動能力が飛躍的に向上した“アルファ”など、新たな脅威が登場。父子は原始的な弓矢だけを手に、これらの怪物と命がけのサバイバルを繰り広げます。
映像面では、アンソニー・ドッド・マントル撮影監督による超ワイドスクリーンのビジュアルが圧巻。丘の向こうから感染者の群れが迫るシーンや、菜の花畑に現れる感染者など、美しさと恐怖が同居する映像表現が際立っています。さらに、レイフ・ファインズやジョディ・カマーら実力派キャストの名演も、作品に深みと緊張感を与えています。
「28年後...」は、単なるホラーやパニック映画にとどまらず、“家族”という普遍的なテーマを軸に、極限状況下での人間ドラマを描き出しています。父子と重病の母が辿る過酷な運命は、観る者の心を強く揺さぶります。物語はクリフハンガーで幕を閉じますが、これは新たな三部作の第一作であり、既に続編「28 Years Later:The Bone Temple」も制作済み。シリーズの今後に大きな期待が寄せられる、必見の一作です。
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