『御成敗式目』誕生を描く歴史ミステリー 稗田利明

こんにちは、稗田利明です!

羽生飛鳥さんの新刊『御成敗式目の殺人』は、鎌倉幕府の執権・北条泰時が、武士のための道理にかなった式目を作ろうと奮闘する姿を軸にした本格推理小説です。物事を殺し合いで解決しないための「法」をどう定めるかという課題に、泰時と連署の北条時房が事件の謎解きを通して向き合っていきます。

物語では、頼朝に献上する観音菩薩像をめぐる殺人や、仏舎利の盗難など、鎌倉時代らしい事件が次々と起こります。仏舎利が当時の貴重な宝物として扱われていた史実も織り込みながら、犯人の動機や隠された真相を追う構成が魅力です。泰時は検証と推理を重ね、事件の解決を通じて、寺社の修理や僧侶の務めを重んじる式目の理念へとたどり着きます。

また、著者は鎌倉時代ならではの生活様式や建物の違いを活かし、密室トリックが難しい代わりに「やぐら」と呼ばれる横穴を使った仕掛けを考案するなど、時代設定を推理の工夫に結びつけています。病や飢饉、屍が打ち捨てられる過酷な時代背景も丁寧に描かれ、謎解きの虚構を支えるリアリティが作品の厚みを生んでいます。歴史の面白さとミステリーの快感を同時に味わえる一冊です。

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